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長野地方裁判所 昭和48年(わ)32号 判決

本籍

長野県南佐久郡小海町大字東馬流四、〇〇三番地

住居

同県同郡同町大字東馬流四、〇〇二番地の一

砂利採取業

井出政二

大正一四年七月四日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官横井治夫出席して審理を遂げ左のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月および罰金五五〇万円に処する。

被告人において右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、長野県南佐久郡小海町大字東馬流四、〇〇二番地の一に居住し、同所に事務所を設けて砂利採取業を営んでいたものであるが、所得税を免れる目的で、公表経理上売上の一部を除外し、架空の修繕費等を計上するなどの行為により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四四年中における実際総所得金額は一四、四〇三、二三七円で、これに対する正当な所得税額は五、八八一、三〇〇円であるのにかかわらず、昭和四五年二月二七日ころ、南佐久郡小海町大字豊里一〇七番地の一、小海町役場において、佐久税務署係員を通じて同税務署長に対し、総所得金額が四、三二三、九二四円であつてこれに対する所得税額は八八〇、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出して同年三月一六日の納付期限までに前記正当税額を納付せず、もつて不正の行為により所得税五、〇〇一、三〇〇円を免れ

第二、昭和四五年中における実際所得金額は二二、六四一、〇五九円で、これに対する正当な所得税額は一〇、一五四、六〇〇円であるのにかかわらず、昭和四六年三月一一日ころ、同小海町役場において、佐久税務署係員を通じて同税務署長に対し、総所得金額が六、〇五四、二二四円であつてこれに対する所得税額は一、三三八、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出して前同様同年三月一五日の納付期限までに正当税額を納付せず、もつて不正の行為により所得税八、八一六、四〇〇円を免れ

第三、昭和四六年中における実際総所得金額は三三、三三四、二八五円で、これに対する正当な所得税額は一六、一九九、一〇〇円であるのにかかわらず、昭和四七年二月一六日ころ、同小海町役場において、佐久税務署係員を通じて同税務署長に対し、総所得金額が八、二〇八、二八四円であつて、これに対する所得税額は二、〇四三、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出して前同様同年三月一五日の納付期限までに正当税額を納付せず、もつて不正の行為により所得税一四、一五五、五〇〇円を免れ

たものである。

(判示各事業年度における実際所得金額の算定については別紙1の1乃至3の修正損益計算書、 脱所得の内容については別紙2の1乃至3の 脱所得の内容、税額の計算については別紙3の1乃至3の脱税額計算書のとおりである)

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の被告人に対する質問てん末書九通

一、被告人及び小池とめ子作成の答申書

一、井出直文、戸谷昇、小池とめ子、青木成夫の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の小池とめ子に対する昭和四八年二月六日付、同月八日付、同月七日付各質問てん末書

一、西沢権一郎作成の登録通知書写

一、保科正次作成の売上高、売掛金調査書、簿外経費調査書、架空経費調査書、減価償却費等調査書

判示第一乃至第三の事実につき

一、大蔵事務官作成の小池とめ子(昭和四七年九月二七日付)、須田重三、坂本節子に対する各質問てん末書

一、井出政敏、成田貞雄、小林昌男、中島太郎(三通)、小山博孝、中島徳市、浅井晶作成の各答申書

一、佐塚太郎作成の証明書

一、保科正次作成の自動車(代車)関係簿外売上調査書

一、大蔵事務官岩村正和外二名作成の八十二銀行小海支店調査関係書類

一、押収にかかる売掛帳(昭和四五・一-四七・八)一綴、決算書綴(昭和四〇年-四六年)一綴、雑記帳一綴、臼建入札分台帳一綴、手形受払帳一冊、自動車関係出納簿一綴、源泉徴収簿兼賃金台帳一綴(昭和四八年押第一六号の2、3、4、5、13、14、18)

判示第一、第二の事実につき

一、佐々木嘉幸、新津栄、友野忠夫、小宮山正三、新海湊、深見外志治、臼田営林署長、正木元一、佐塚太郎、井出利男、花里孔敬、小池清幸作成の各答申書

一、早川信二、倉沢七左衛門、丸茂秀雄作成の各証明書

一、保科正次作成の自動車(代車)関係簿外経費調査書

一、押収にかゝる売上帳(小口売)一冊、売上元町(佐久町役場)一冊、請求書(昭和四四・一一-四五・一二)一〇冊、請求書(昭和四四・一二-四五・一二)四冊、納品書控二綴、請求書(昭和四五・一一-四七・一一)六冊、固定資産台帳一綴、車両入替関係書類一綴、現金出納伝票綴(前同押号の6、7、10、12、20、21、22、25、26、)

判示第一の事実につき

一、吉池治利作成の証明書二通(その一及びその四)

一、井出正夫、木内確作成の各答申書

一、押収にかかる総勘定元帳(昭和四四年)一綴、請求書(昭和四二・一二-四三・一二)一冊、請求書(昭和四三・一二-四四・一一)六冊、請求書(昭和四三・一二-四四・一二)七冊、手形受払帳一冊、領収書綴一綴、請求書綴(四四年)一綴(前同押号の1、8、9、11、15、16、17、)

判示第二の事実につき

一、吉池治利作成の証明書二通(その二及びその五)

一、菊地茂、新海欣一、高柳袈裟春作成の各答申書

一、押収にかゝる総勘定元帳(四五年)一綴、領収書綴(四五年)一綴、請求書綴(四五年)一綴(前同押号の19、23、24)

判示第三の事実につき

一、吉池治利作成の証明書二通(その三及びその六)

一、小河原武明、篠原実、小平真澄、高橋次男作成の各答申書

一、保科正次作成の昭和四八年二月一五日付、雑収入調査書

一、押収にかゝる総勘定元帳(四六年)一綴、売掛帳一綴、請求書控(昭和四六・一〇-四七・五)一冊、請求書(昭和四六・一-四六・一二)七冊、土場渡売上帳二綴、領収証控一冊、大光相互銀行普通預金通帳一冊、領収書綴(四六年)一綴、請求書綴(四六年)二綴(前同押号の27乃至35)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は所得税法第二三八条第一項に該当するところ、所定の懲役刑及び罰金刑を併科することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により、犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、罰金刑については同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額以下において、被告人を懲役八月及び罰金五五〇万円に処し、被告人において右罰金を完納することができないときは、同法第一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法第二五条第一項により本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中村護)

別表1の1 修正損益計算書

井出政二

自昭和44年1月1日

至昭和44年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別表1の2 修正損益計算書

井出政二

自昭和45年1月1日

至昭和45年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

注 〈20〉特別控除額の300,000円は所得税法第33条第4項の特別控除額である。

別表1の3 修正損益計算書

井出政二

自昭和46年1月1日

至昭和46年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

注 〈24〉特別控除額400,000円は所得税法第33条第4項の特別控除額である。

別紙2の1

逋脱所得の内容

事業年度 昭和

〈省略〉

〈省略〉

別紙2の2

逋脱所得の内容

事業年度 昭和45年度

〈省略〉

〈省略〉

別紙2の2

No. 2

〈省略〉

別紙2の3

No. 1

逋脱所得の内容

事業年度 昭和46年分

〈省略〉

〈省略〉

別紙2の3

No. 2

〈省略〉

逋脱額計算書

自 昭和46年1月1日

至 昭和46年12月31日

〈省略〉

税額の計算

〈省略〉

昭和48年3月3日作成

作成者 関東信越国税局収税局収税官吏

大蔵事務官 保科正次

逋脱額計算書

自 昭和45年1月1日

至 昭和45年12月31日

〈省略〉

税額の計算

〈省略〉

昭和48年3月3日作成

作成者 関東信越国税局収税官吏

大蔵事務官 保科正次

逋脱額計算書

自 昭和44年1月1日

至 昭和44年12月31日

〈省略〉

税額の計算

〈省略〉

昭和48年3月3日作成

作成者 関東信越国税局収税官吏

大蔵事務官 保科正次

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